混合水栓とは、ひとつの吐水口でお湯と水の切り替え操作ができる水栓のことです。デザインや性能などがついた様々な混合水栓が存在し、住宅以外にも公共施設や店舗などで見かける機会が多いのではないでしょうか。そんな混合水栓ですが、故障してしまうと吐水口がひとつしかないためお湯も水も使えなくなってしまうなんてケースもあります。特に多いのが「水が出なくなってしまった」というトラブルです。また混合水栓と言っても「シングルレバー混合水栓」「ツーハンドル混合水栓」「サーモタット混合栓」の3種類あり、それぞれの種類によって故障原因が違ってきます。今回はそんな混合水栓で起きやすい水が出ないトラブルについて、混合水栓の種類別に故障原因と対処法を詳しく解説していきます。是非参考にしてみてくださいね。
シングルレバー混合栓

シングルレバー混合栓は、ひとつのレバーでお湯と水の切り替えを行う非常にシンプルでスタイリッシュな造りをしています。そのためデザイン性が求められる水回り設備に、インテリアの一部として設置されることもある人気の水栓形状です。住宅であればキッチンや洗面所の蛇口に採用されるケースが多いです。そのため馴染みがある方も多いかと思います。そんなシングルレバー混合水栓ですが、水が出なくなってしまう原因は主に、「止水栓がしまっている」「吐水口のフィルターがつまっている」の2つの理由が考えられます。
止水栓がしまっている
▶原因
シングルレバー混合水栓はレバーがひとつであるためイメージがしにくいかもしれませんが、水栓の下部にはお湯と水の2つの止水栓が存在しています。この2つの止水栓はどちらも通常は空いていなければならず、水の方の止水栓がしまっている場合には当然水は出なくなります。掃除や点検などの際に止水栓をしめたままにしてしまったり、引っ越した日に止水栓をあけ忘れてしまうなどといったことが原因で、水がでなくなってしまっている可能性があります。
▶対処法
この場合は簡単で、水の止水栓をあければ問題ありません。止水栓は反時計回りにするとあきますので、しまっている場合には反時計まわりにハンドルを回しあけましょう。
吐水口のフィルターがつまっている
▶原因
止水栓にも問題はなかった、と言う場合にはシングルレバー混合水栓の吐水口を確認するようにしてみてください。水道管から水が来ているのになぜ詰まるのか、と不思議に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実は水道管は配管の種類や水を引いている場所によっては、錆びや砂、剥がれた建築資材などが含まれている場合があります。そうした物が出てくる可能性があるため蛇口には吐水口のフィルターが付いているのですが、このフィルターを掃除しないとどんどん詰まりが蓄積されていってしまい、水が出にくい状態になっていってしまいます。
▶対処法
吐水口にはよく見るとキャップのような物がついていますので、そこを指先でつまみ時計回りに回転させると吐水口フィルターを外すことができます。スポンジなどでは取り除きにくい大きさですので、掃除用の歯ブラシや綿棒などで吐水口フィルターをこすり洗いしましょう。こうすることで吐水口フィルターのつまりが解消され、水がしっかりと流れ出てくれるようになります。戻すときは外した時と逆回りに回転させはめれば完了です。
ツーハンドル混合水栓

今では設置台数が少なくなってきたものの、少し古い住宅などの洗面所などで見かけることがあるツーハンドル混合水栓。その名前の通り、ハンドルがお湯と水の2つに分かれています。お湯と水の量を調整しながら出すことで、好みの温度に調整することができます。もちろんお湯だけ、水だけという使い方もできます。そんなツーハンドル混合水栓から水が出なくなった場合、シングルレバー混合水栓と同様に「止水栓がしまっている」「吐水口のフィルターがつまっている」の2つの理由が考えられます。
止水栓がしまっている
▶原因
ツーハンドル混合水栓も下部にお湯と水の、それぞれの止水栓があります。お湯は出るけど水だけがでない、と言う場合は水側の止水栓がしまっている場合があります。また止水栓は少し空いているだけでも、水の流量が少なく出にくいという場合もあります。
▶対処法
シングルレバー混合水栓と同様に、こちらも止水栓をあけることで水が出るようになります。
吐水口のフィルターがつまっている
▶原因
シングルレバー混合水栓と同様の理由で、ツーハンドル混合水栓の吐水口に錆びや砂、剥がれた建築資材などが蓄積され、水が出にくくなている可能性があります。この場合はお湯も出にくい、以前までは通常通り使えていたのに徐々に出が悪くなったという場合に比較的多く見られます。
▶対処法
シングルレバー混合水栓と同様の手順で、吐水口のフィルターを外し中を掃除します。フィルターのつまりを取り除いた状態で戻すと、ほとんどの場合が問題なくお湯も水も出るようになります。
サーモタット混合水栓

サーモタット混合水栓は、お湯や水などの温度を自動で調整してくれる機能がついており、ツーハンドル混合水栓がより使いやすくなった水栓です。ハンドルを好みの温度に調整することで簡単に温度を変えることができるため、お風呂場などで使われることが多いです。お風呂場で使われるサーモタット混合水栓には、同時にシャワーが付けられておりシャワーもサーモタット混合水栓の温度調整の影響を受けます。サーモタット混合水栓の場合、水が出ない理由は「止水栓がしまっている」「吐水口のフィルターがつまっている」「給湯器の容量が不足している」の3つが考えられます。
止水栓がしまっている
▶原因
他の混合水栓と同様、入居したばかりであったり修理などで触った後に止水栓をしめたままにしてしまっており、水が出ないというケースがあります。ほとんどがウッカリミスであけ忘れてしまっていることが多いですが、意外と多くある相談内容です。水がシャワーからも蛇口本体からも少しも出ない、という場合はまずは止水栓を確認しましょう。
▶対処法
サーモタット混合水栓がお風呂場に付いている場合、他の水回りとは止水栓の位置が違います。そのほとんどが水栓根本部分についており、マイナスドライバーなどを使用して止水栓の開け閉めを行います。止水栓の場所が分からない場合は、メーカーの取扱説明書や公式HPの説明、相談窓口などを利用して確認するといいですよ。
吐水口のフィルターがつまっている
▶原因
他の水栓と同様に、吐水口のフィルターがつまってしまっているケースがあります。外側からでは判断できませんので、使用していくうちに水の出が悪くなってきたという方は、一度吐水口のフィルターを確認するようにしましょう。
▶対処法
こちらも他の水栓と同様に、吐水口のフィルターを回し外して、フィルター部分を掃除しましょう。洗剤を使用しても問題はありませんが、必ずしっかりと水ですすいでから元の場所に戻すようにしましょう。またサーモタット混合水栓の場合は、止水栓の下にもフィルターが設置されていますので、止水栓を閉めた後に取り外して清掃をしておくとつまり汚れを除去することができます。
給湯器の容量が不足している
▶原因
止水栓や家の元栓が全開になっているのに、水の出が悪いという場合は、給湯器の容量が不足しているために水圧が弱くなってしまっている可能性があります。たくさん使用する機会がある住宅であれば給湯器の容量を見直す必要があります。
▶対処法
使用料と給湯器の容量が合っていない場合は、給湯器の容量を大きくするために新しい給湯器への取り換えが必要になります。給湯器の取り換えは、プロの業者であっても有資格者のみしか行うことができない大変難しい工事です。そのため給湯器の交換を検討する際にはまずはプロの業者に相談をし、適切な給湯器を選んでもらってから交換をお願いするようにしましょう。
◎合わせて読みたい記事!
お湯が出ない!?そのトラブルの原因について
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混合水栓のトラブルを放置するとどんなリスクがある?
キッチンや浴室、洗面所など、日常生活に欠かせない混合水栓には、さまざまな種類がありトラブルの際の対処法が異なるということを知っていただくことができたかと思います。混合水栓自体は水とお湯を一つの蛇口から使い分けられる便利な設備ですが、経年劣化や不具合が起きたまま放置してしまうと、想像以上に大きなリスクへと発展することがあります。最初はちょっとした水漏れや温度調整の不具合に見えても、それを放っておくことで住宅へのダメージや光熱費の増加、衛生環境の悪化などにつながるおそれがあるのです。そこでここでは、混合水栓のトラブルを放置した場合に考えられる5つのリスクについて、具体的に解説していきます。「ちょっとくらい放置しても問題ないだろう」と考えている方は、要注意です。
水漏れによる水道代の増加
混合水栓の水漏れは、見た目に派手さがないため「まだ使えるし大丈夫だろう」と軽視されがちです。しかし、たとえ一滴ずつの水漏れであっても、1日中ポタポタと漏れていれば1日あたり数リットル、1カ月で数百リットルもの水が無駄になっている計算になります。一般的な家庭では、これだけで年間数千円〜1万円以上の水道代が余分にかかることもあります。また、水漏れの場所が「給湯側」だった場合、問題はさらに深刻です。お湯を出すためには給湯器を作動させる必要があり、その分だけガスや電気も使われていることになります。つまり、水だけでなく、光熱費全体が無駄にかかっている状態なのです。さらに、給湯器側でも負荷がかかりやすくなり、寿命を縮める原因にもなります。水栓の水漏れはパッキンやカートリッジなど、比較的簡単な部品の劣化が原因であることが多く、早期に対応すれば修理費も抑えられます。少しでも違和感を覚えたら、すぐに点検・対処を行うことが、経済的な損失を防ぐうえでも非常に重要です。
湿気が原因でカビや腐食が進行
混合水栓からの水漏れや水はねによって生じる湿気は、家の内部構造にとって非常に深刻なダメージを与えかねません。特に水が漏れている場所がキッチンや洗面台の収納スペースの中だった場合、外からは見えづらいため、気づかないうちにカビや腐食が進んでしまう危険性があります。湿気がこもる環境はカビの繁殖にとって最適で、一度カビが発生すると木材や合板の劣化が急速に進行します。棚板が黒ずんできたり、床がふかふかと柔らかく感じるようになったら、それはすでに内部で腐食が進行しているサインです。さらに、湿気を好むダニやゴキブリ、シロアリといった害虫の発生も誘発し、衛生面でも大きな問題となります。また、木部が腐食すると修理が大掛かりになり、水栓の交換だけでは済まなくなることも。シンク台ごと交換が必要になったり、壁や床の張り替え工事が必要になったりと、多額の費用が発生する可能性もあります。こうしたカビや害虫による二次被害を防ぐためには、水栓の不具合を放置せず、早い段階での対処が肝心です。
配管内部の劣化や詰まりが進行する
混合水栓の操作感に違和感を覚えたら、それは内部の配管や部品に問題が生じている可能性を示しています。たとえばハンドルが固くて動きにくくなったり、水やお湯の出が極端に弱くなったりといった症状は、カートリッジの摩耗やパッキンの劣化、あるいは内部にゴミやサビが溜まっている状態かもしれません。
そのまま使い続けてしまうと、水の流れが不安定になったり、圧力が偏ることで配管に過度な負荷がかかり、最終的に配管自体が損傷することがあります。特に築年数の古い住宅では、配管の素材によっては腐食が進みやすく、水漏れや破裂といった大きな事故につながるケースもあります。また、内部に詰まった異物が原因でお湯の出が悪くなると、給湯器が正常に作動しなくなったり、エラー表示が出たりする場合もあります。給湯器の故障と誤解して高額な修理や交換を依頼してしまうリスクもあるため、まずは水栓の状態を確認することが大切です。配管内部の劣化や詰まりの進行を防ぐには、定期的なメンテナンスと、異常を感じたときに早めに専門業者に相談することが効果的です。
火傷や冷水ショックの危険性が高まる
混合水栓の最大の特徴は、水とお湯の温度を自由に調整できることにあります。しかし、その調整機能が正常に働かなくなってくると、急に熱湯が出たり、冷水になったりする危険な状態に陥ることがあります。これは特に、サーモスタット(温度調整機能)に異常がある場合に起こりやすい症状です。温度の急変は、使用者の体に直接的なダメージを与えることがあります。たとえば、急に高温のお湯が出てしまえば、思わぬ火傷を負う可能性があり、特に皮膚の弱い子どもや高齢者にとっては深刻な事故につながります。逆に、冬場にいきなり冷水を浴びると、血圧の急上昇やヒートショックのような健康リスクも懸念されます。また、毎回の使用で温度が不安定だと、日常のストレスにもつながります。「今日は熱すぎた」「今日はぬるくてお風呂に入れなかった」といった不便が続くと、生活の質自体が低下しかねません。家族全員の安心・安全な生活を守るためにも、混合水栓の温度調整に違和感がある場合は、早めに修理や交換を検討しましょう。
不具合が原因で本体交換が必要になることもある
混合水栓に異常が起きた際、早期に修理や部品交換を行えば、費用も抑えられ短時間の対応で済みます。しかし、不具合を長期間放置してしまうと、内部の部品だけでなく本体自体が劣化し、結果的に混合水栓全体の交換が必要になることがあります。混合水栓の寿命は一般的に10年程度と言われていますが、使い方や設置環境によってはもっと早く劣化が進むこともあります。パッキンやカートリッジの交換で対応できたはずのものを放置したことで、金属部分が腐食していたり、ネジや接合部が固着して取り外せなくなっていたりと、修理が困難になるケースもあります。さらに、本体の交換となると、単純な水栓の入れ替えだけでは済まないこともあります。キッチンや洗面台の構造によっては、シンクごとの取り外しが必要になることもあり、工事費が数万円〜10万円以上かかる場合も珍しくありません。使用できない期間が長くなり、日常生活にも大きな支障をきたします。大きな修理問題が発生する前に、小さな不具合のうちに対応することが、コスト面でも生活面でも最善の選択と言えます。
混合水栓から水が出ない場合は、プロの業者に相談を!

今回ご紹介させていただいた内容は、一部を除いてほとんどが自分で対処していただける内容です。そのため実践していただいて実際に問題を解決することができた、と言う方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし混合水栓のトラブルを自分で対処できる場合のほとんどが、故障ではなく清掃不足によるトラブルであるからです。混合水栓が故障して水が出なくなった、あるいは逆に水が止まらなくなった・・・と言う場合は、清掃で解決することができません。細かい部品の確認をし、適切な規格の部品を購入し、更に工具を使って修理していくという過程が必ず発生します。もちろんDIYに慣れているという方であれば問題なく修理作業をこなしてしまう方も多いですが、DIYに慣れておらず配管に傷を付けてしまうなど、悪化させてしまうケースも実は多いです。故障かどうかの判断がつかない、掃除の方法を自分で試すには不安がある、と言う方はまずはプロの業者に相談するようにしましょう。
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「水道工事には資格が必要?無資格業者による水道工事の危険性とは?」
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まとめ
弊社では水回りトラブルの無料お見積り、修理を行っておりますのでお困りの際は是非ご連絡ください。関東エリア・東北エリア・東海エリア・関西エリアの各拠点にスタッフが待機しておりますので、お問い合わせから最短20分で駆けつけます。不安なことがありましたら是非ご連絡ください。