私たちの生活に欠かせない「水」ですが、その水を供給するために裏ではさまざまな専門技術者たちが手助けをしてくれています。水道工事という単語は建物の新築工事や、道路の工事のお知らせなどで見かけることが多く、なんとなく見たことがる、知っているなんて方が多いと思います。しかし、実際はどんなことをやっているのか、どんな種類があるのかまでは知る機会が少ないです。また水道工事にはさまざまな資格を持った人々が関わっていますが、この資格がないと大変なことになります。そんな私たちのライフラインを形成する水道工事について、今回は工事の内容や資格の種類などを解説してきます。

水道工事にはどんな種類がある？

水道工事とは主に上水道の新設・増設・修理や、トイレなどの排水設備工事などを行う工事のことをいいます。上下水道は自宅内の設備で例えると、洗面やお風呂、キッチンなどの水栓から出る水のことをいいます。また水道工事は大きく分けると3種類あり「給水管引込工事」「屋内配管工事」「下水道排水設備工事」のと区別されます。それぞれ工事には目的があり工事内容も違います。

①給水管引込工事

給水管引き込み工事とは、道路の中に埋められている水道管から家の敷地内に水道管を引き込む工事のことです。基本的にはどの道路にも水道管は埋められているため、新築で住宅などを建てる際にはその住宅の図面に合わせて必要な長さ分引き込みます。給水管は使用前の綺麗な水で、蛇口をひねると出てくる水のことです。一般的に水道管から敷地内の距離が長ければ長いほど、給水管引込工事の費用は高くなる傾向にあります。

②屋内配管工事

屋内配管工事とは、水道メーターから水回りまで行う工事のことをいいます。水道メーターからは各水回りに沿ってそれぞれ分かれていますが、その配置についても新築時に図面に記載されているため、その通りの工事を行います。水回りにはキッチンや洗面の他に、外の水栓なども含まれます。リフォームなどで自宅内の水回りの配置が変わった場合も同様に、この屋内配管工事を行います。

③下水道排水設備工事

下水道排水設備工事とは、それぞれの排水口から汚水桝への配管を行う工事です。キッチンや洗面、お風呂場などで使用した水は排水口に流れていく構造になっていますが、そのような生活排水は敷地内の排水桝に一度流れます。排水桝はゴミ溜めのような役割を担っており、排水は排水桝を経由して敷地外にある排水本官へと流れていきます。

水道工事に必要な資格

私たちの生活に関わる水道工事の種類を解説してきましたが、それぞれの水道工事を行うには専門資格が必要になります。正確には施工自体を行うには資格必須ではありませんが、施工をするための調査・検査などは専門資格を持った人が行わなければなりません。工事を依頼する側が知らなかったというケースは多いですが、工事を請け負う側が無資格で行っている事例も少なくありません。ここではどのような資格が必要か知識をつけ、水道工事を依頼する機会があれば依頼する業者に資格があるかを確認するようにしましょう。

①給水装置工事主任技術者

給水装置工事主任技術者とは、国家試験である給水装置工事主任技術者試験に合格し、交付申請により厚生労働大臣より給水装置工事主任技術者免状の交付を受けた人のことをいいます。この資格を持つことで水道工事における「事前調査」「施工計画」「施工」「検査」を行えるようになります。事前調査は水道事業者との調節、施工計画とは工事方法の決定や施工検査、施工は現場作業員の監督指導、検査は竣工検査や立ち会合いなどの作業をいいます。水道工事を行う際、給水装置工事主任技術者の介入がないと計画などもできないため、水道工事においてとても大切な資格者であるといえます。

②水道技術管理者

水道技術管理者とは、日本の水道法の中で水道事業（上水道・簡易水道・専用水道）の設置者が必ず設置しなければならないと定められている技術面での責任者のことです。水道技術管理者は国家資格ではありませんが、水道における一定以上の知識及び実務経験を必要とする資格です。一定以上という条件ですが実際には、水道技術管理者として基礎教育を受けた者、10年以上（5年以上）の水道の技術上の実務に従事した経験を有する者、厚生労働大臣が認定する講習を修了した者など水道技術管理者の資格を得るためにはその条件が詳細に決められています。主な業務内容は人体にとって安全な飲料水を供給するために、水道の維持管理、給水開始前の水質検査及び施設検査、塩素消毒などの衛生上の措置、給水の緊急停止、給水停止命令による給水停止などを行います。

③下水道排水設備工事責任技術者

排水設備工事責任技術者とは、国家資格ではありませんが各都道府県市区町村で実施される排水設備工事責任技術者試験に合格し、資格を登録された者のことをいいます。下水道排水設備は各都道府県や市区町村の条例で登録された下水道排水設備指定工事店以外は設計・施工を行うことができず、下水道排水設備指定工事店には必ず1名以上の排水設備工事責任技術者が必要となります。主な業務内容は、排水装置工事の計画・施工、またメンテナンスまでを一貫して行います。生活排水から成る下水道設備などのメンテナンスは、私たちの生活を円滑に送るためには欠かせないものです。

④管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は、国土交通省による認定を受けた国家資格を持つ技術者のことで、管工事のスペシャリストともいえます。管工事とは空調設備、上下水道設備、ダクト、ガス管、浄化槽などの配管工事のことをいいます。どんな建物にも必ず管工事は必要となりますので、そういった意味でとても需要が高い資格となっております。工事自体は資格保有者でなくとも施工可能ですが、工事における工程の中での安全管理や施工内容などを管理するためには管工事施工管理技士の資格が必要となります。

無資格は危険！水道工事の見えない落とし穴

水道工事の計画・管理などには資格が必要であると説明をしてきましたが、この記事を読むまで知らなかったという方も多いのではないでしょうか。しかし水道工事を依頼する際に、資格が必要であることを知らずに無資格の業者に依頼してしまうと後々大変なことになりかねません。新築住宅建築時などの際は工務店やハウスメーカーが契約している業者をそのまま利用することが多い分心配もほとんど不要ですが、個人や企業で工事を依頼する際にはしっかりと自分の目で資格の有無を確認することをおすすめします。ここでは無資格で行われた工事にどんな危険性が潜んでいるかを解説していきます。

①施工不良・安全面でのリスクがある

資格を得るためには一定以上の知識・技術が必要とされます。そのため資格を持っていれば一定ライン以上の安全面は約束されています。しかし資格がない業者ですと施工に関しては技術があっても、知識が欠けていたりなどの可能性が0ではありません。現段階では黙認されてしまうことも多い水道工事ですが、「安いから」などの理由で無資格の業者に依頼してしまうことでライフラインに欠かせない上下水道に施工不良などを引き起こすリスクもあります。また衛生面での心配などもあります。安全なライフラインを確保するために、業者へ依頼する際は必ず資格の有無を確認しましょう。

②罰則、罰金の対象になる

無資格での工事でも黙認されることが多いとお話をしましたが、この場合正式な届け出を出されていないために見逃されてしまうことがほとんどです。しかし何か異常が起きた際の水質調査や事故などにより、水道工事に対して届け出が出されていないことが発覚することがあります。無資格が黙認されてしまうことが多いといえ、無資格で行っていいですよということにはなりません。そうなると判明した時にその地区の自治体の判断により、罰則や罰金の対象になることがあります。また場合によっては水道を止められてしまうなど、水道工事を依頼した側も大変なことになってしまいます。

まとめ

今回は工事の内容や資格の種類などを解説してきました。いかがだったでしょうか。また無資格での水道工事には大きなリスクが伴うことも知っていただけたかと思います。私たちの生活に欠かせない水を安全に利用するためにも、引込工事など大きな水道工事を依頼する際には自分の目できちんと資格の有無を確認するようにしましょう。